気象環境ツアー『岡山・広島被災地の視察会』を開催しました(2019年4月13・14日)

2019年4月13日・14日、西日本豪雨被災地の視察会が開催されました。

1日目は岡山・真備町から視察。去年7月に氾濫した小田川では堤防工事が行われていました。
真備町は約5メートルもの高さまで浸水した地域です。浸水被害を受けている家屋も多く、実際に被災地に訪れなけれなわからないことがたくさんありました。

2日目は広島へ。5年前の広島豪雨の被災場所にも訪れ、砂防堰堤も実際に近くで見ることができました。
今回の視察会では中国地方整備局の方から詳しく説明をいただいた上に、被災した方からもお話しを聞くことができ、当時の様子や対策などがより理解が深まりました。




以下、参加された方からの感想です。

【堂本 幸代さん】
西日本豪雨では、私が気象情報を届けている山口でも県の東部で大きな被害がありました。そのため、岡山と広島の被災地を訪れて一番に思い浮かんだのが、7月6日、あの日の放送で、迫り来る危険の大きさをどれくらい伝えることができただろうか…ということでした。岡山の被災者の方からも、細かい地域名を出して危険性を伝えてもらわないと自分自身のこととして受け止められないというお話がありました。ローカル放送の役割や責任について、改めて心に刻んだ2日間でした。

【真々田 竜太郎さん】
真備町で被災された方の言葉。
「避難勧告が出ました」ではなくより具体的に伝えてほしい。「倉敷市に避難勧告が出ました、じゃない。真備町に避難勧告が出ました、でもない。小田川が氾濫する危険がある、すぐ逃げろ!」だと。胸に突き刺さりました。
情報を受ける側の立場に立つことがいかに重要か、を教えてもらいました。

【中島 望さん】
西日本豪雨から九ヶ月、この様に貴重な機会を設けて下さり、感謝しております。
今回は、特に被害が大きかった倉敷市真備町を見学させて頂き、復興に向けての歩みを感じる事ができました。
ただ、土砂による家屋倒壊や、氾濫による浸水は、県内の至る所で発生していて、未だ手付かずのまま、放置されている箇所も多いのが現実です。ニュースで取り上げられる地域だけしか、進捗が見えてこないものですが、本当の復興への道のりはまだ遠いことを、私なりに伝えていけたらと思いました。

【前田 智宏さん】
気象キャスターとして仕事をし始めて3か月後に直面した西日本豪雨。当時は解説や現場リポートでバタバタして、ついていくのにただただ必死でしたが、こうして被害の大きかった地域を見て歩き、被災者のお話を聞く中で、避難に関してどの段階でどんな呼びかけを行うことが適切なのか、深く考えなおす機会となりました。これからも現地へ赴き、学ぶことを大切にしようと思います。また、WCNの活動への初めて参加だったのですが、全国のキャスターの皆様とお話しできる非常に有意義な時間でした。ありがとうございました。

【岩木 保幸さん】
気象キャスターネットワークに入会し、初めて参加させていただきました。岡山・真備地区は私が通っていた高校の対岸にあり、懐かしい風景がすっかり変わっているのを目の当たりにし、被害の大きさにただただ驚きしかありませんでした。しかしそんな中、町ぐるみで復興させようとされている姿や、営業を再開した友人の会社を見て、人々の力強さを感じ、安心しました。被災された方のお話で「どこが危険なのかピンポイントで教えてもらいたい」という言葉が印象的でした。毎年のように起こっている自然災害。私たち気象予報士が発する一言で、たくさんの命が救えることも事実です。被害を最小限にするため、視聴者の方々にどのような情報を提供をしなくてはいけないのか、わかりやすく伝えていけばよいかを考えさせられた一日でした。普段なかなか会えない全国のキャスターの皆さんとお会いでき、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。最後になりましたが、被災地の一日も早い復興をお祈りしています。

【岩永 哲さん】
実際に災害はどんな所でどんなことが起こったのかを知ってもらいたい…そんな思いから企画した見学会には、岡山・広島という地方で2日間にわたる開催にも関わらず全国各地から20人を超える会員が参加した。
今回はなるべく災害発生当時を具体的にイメージしながら被災地のイマを見てもらえるように、実際に被災した人に話を伺う機会を設けたり、災害発生当日の映像を見てもらったりする内容を入れ込んだ。同じ西日本豪雨といっても、岡山は大きな河川の洪水被害、広島は山際の渓流で起きた土石流による被害と、災害のタイプは大きく異なる。それぞれの被災地の特徴を垣間見てもらえたのではないか。また、5年前に70人以上が犠牲となった広島豪雨災害の被災地で建設工事が進む砂防ダムもあわせて見てもらった。
今回の見学会の実現には中国地方整備局の協力によるところが非常に大きい。WCN中四国地区とおよそ10年にわたって一緒に勉強会を開催しているが、普段からの関係が生きた形となった。
普段、気象キャスターはスタジオで日々の天気予報を伝えるのが中心で、実際に災害現場に行く機会はあまりないかもしれない。ただ災害の危険度は気象データだけではわからない。より効果的な警戒の呼び掛けには、そこがどういう場所かを知ることがとても大事である。真備町や呉市、広島市などの被災地を実際に見て感じたことが、会員のみなさんの活動に何かしら役立つことがあれば幸いである。