9月6日理事のお天気だより(波田健一)

天気があれば、なんでもできる
どーも、波田健一です
先日、中国四国地区の勉強会として
国土交通省中国地方整備局のご協力をいただき
羅漢山(らかんざん)のCバンド二重偏波レーダと弥栄ダム(やさか)の見学に行ってきました
正統派のリポートは、見学班団長の堂本幸代さん(山口)が
きちんとまとめてくださっているので、まずはそちらを見ていただければと思います
https://www.weathercaster.jp/tour20230801_report/

私はそこからこぼれた「裏街道」のお話を…
実施された8月1日は平日、しかも「夏真っ盛り」…
パラボラアンテナが収納されているレーダのレドームの中はなかなか見られないので、この話が成立したときはすごくうれしかったのですが、
「20分登山します」と連絡があった瞬間に、後悔しました…

さて、レーダのある羅漢山は、広島県と山口県の県境にあります。
標高は約1,100m。手ごろに登れるので登山愛好家には人気の山です。
標高900mあたりから登山をしたのですが、登山道はそのほとんどが木立の下で
灼熱の日差しを浴びることはなかったのですが、先頭を行く整備局の方のピッチが速い速い…
20分の予定を15分たらずで登りきりました。
WCN一行はみんな息絶え絶えだったのですが、撮影を兼ねながら登っていた岩永さんは完全にKO状態でした…

まず、中枢部である機器室へ
いま、日本の気象観測レーダは「二重偏波レーダ(MPレーダ)」に順次置き換えられています。
水平方向と垂直方向の電波(偏波)を発射し、降水粒子からはね返ったものを受信することで、降水粒子の大きさ、強度だけでなく、粒子の種類(雨粒やひょう、雪片)も判別することができます
電波を送受信し処理する機械からは、水平方向と垂直方向の電波が通る「導波管」がそれぞれ、アンテナに繋がっています。



左側が水平偏波、右側が垂直偏波の導波管

 
導波管 この小さな穴を送受信の電波が行き交います

いよいよ、レドーム内へ
レドームへの移動はスペースを最小限に抑えるため、全てはしごです

レドーム内に鎮座するパラボラアンテナ
でかい、パラボラの先で二本の導波管が束ねられ、放射器からパラボラで反射して電波を発射します
そして降水粒子からはね返った電波を一度パラボラで受けて受信し、水平方向と垂直方向に分離して、導波管を通じて処理機械に戻すのです

いつもは電波が飛び交っているため、基本的には入れない場所です
参加した会員たちはいろんな質問を整備局の方にぶつけたり、写真撮影に勤しんでいました。

レドームの周りには作業用の通路があります。そこから見える景色はまさに絶景!
中国山地の山々や広島、岩国などの市街地、安芸の宮島などを見渡せます
空気が澄んでいる時期には四国も見られるそう
頑張った登山や充実した勉強会への、まさにご褒美でした

続いて、弥栄ダムに移動
広島県と山口県の県境を流れる小瀬川(おぜがわ)にある弥栄ダム
小瀬川の洪水調節のほか、広島県西部や山口県東部に水道水や工業用水を供給しています
高さ120m、幅540mの重力式コンクリートダムとしては中国地方最大級で
職員の方は「ダム番付では“西の横綱”だ」とおっしゃっていました。
また、弥栄ダムから河口までは14km、直線距離なら数キロ…
都市部のある河口から近く、県境をまたぐダムは、日本でもかなり珍しいものです

ダムの堤体の中を通って、「コンジットゲート」に案内していただきました
コンジットゲートはダムの真ん中辺りにある洪水調節用の放流管で、1つのゲートにつき、毎秒300トンの水を放流できます
ダムの下からみると放流管は決して大きく見えないのですが、実際の管は大きく、しかも放流時に開けるゲートの本体は実に大きく迫力があります。またゲートの隙間からダムの堤体や川が見えるなど、なかなかスリリングな場所です。

最後にダムの上部にある「クレストゲート」に案内していただきました。
クレストゲートは緊急放流時に開ける、いわば「最後の砦」になります。
しかし、さすが「西の横綱」 貯水容量が大きいため、過去一度もクレストゲートを使ったことはないそうです。
このクレストゲート、めちゃめちゃ高いところです。外の点検用の階段から眺めることもできるのですが、スーパー高度恐怖症の私には無理でした((;゚Д゚))


ダムカードもしっかりゲット!

担当理事:波田健一