仙台の鈴木智恵です。東日本大震災から7年半。ことしのWCN被災地イベントは9月1日の防災の日、宮城県東松島市野蒜(のびる)の防災学習施設KIBOTCHA(キボッチャ)で開催しました。
子どもたちが遊びながら、災害から身を守ることについて学ぶKIBOTCHA防災ワークショップの一環として行った「WCN気象キャスター・気象予報士と一緒にまなぼう!お天気ぼうさい教室」。実験やクイズのほか、ドラえもんと南極に行った空の探検家・武田康男先生の映像コーナーもあり、見て、聞いて、南極の氷をさわってと五感で楽しむ内容に。みんなの笑顔が印象的でした。また、後半の視察では語り部の話を聞きながら旧野蒜駅まで歩き、被災地の今を感じるひとときとなりました。
参加した会員の皆さんからの感想を一部ご紹介します。
◇久保田 敬二さん
イベントでは、体験型の「雲を作る実験」が最も盛り上がったと感じました。また、語り部の話は、身内や友人など具体的な話をなまりを含む言葉で伝えて頂いたので、より一層、悲しい気持ちややりきれない気持ちが伝わってきました。特に、自分以外の家族全員が亡くなられた方の話が、言葉にできないどうしようもない悲しい気持ちになってしまいました。旧野蒜駅周辺は、数件の家がある他は草原(荒野)となっており、復興が進んでいない、または、ストップしているようでした。2年ぶりに被災地を訪れましたが、活気がないようにも感じました。行かなければ分からないことだらけだと思いました。来年も参加し、少しでも子供達の笑顔を増やせればよいと思います。
◇福嶋 アダムさん
1時間と長い時間でしたが、内容が盛り沢山で、参加した方の反応を見ても、飽きの来ない内容だったように思います。子どもたちにも雲を作ってもらうなど、実際に手を動かしてもらうのが良かったと思いました。
震災から7年以上が経ち、復興は進んでいるものと思っていましたが、視察した地域は、津波で流された家の基部がそのまま残っていたり、家の玄関にある石柱が地震で傾いたままだったりと、想像以上に地震の爪痕が残っているなと感じました。語り部の方のお話にもありましたが、自宅に水を常備しておくなど、できることから地震の備えを始めたいと思いました。
◇竹下 愛実さん
最初から最後まで元気いっぱいの子どもたち。「雨粒の形はどのパンの形?」クイズでは、正解のパンが本物であると知り「食べたーい!!」の大合唱が起きました。話を聞くのも、手を挙げるのも、実験をするのもみんな全力。少し難しい内容にも懸命に耳を傾け、全身で学ぼうとしてくれる姿に、自分もがんばらねばと気持ちを新たにしました。この春まで宮城で過ごした私にとっては、5ヶ月ぶりの沿岸部。語り部の方が、津波に流された自宅の場所を見たときのことを「笑うしかなかった。こういうとき、人間ってもう、笑うしかないんです」と、絞り出すように話されていたのが忘れられません。「被災地」とひとくくりに表現されがちですが、場所ごとに被害の受け方も、人々の思いも、そして7年が過ぎた今の風景も違います。皆さんもぜひ何度でも足を運んでください。
◇武田 康男さん
とても熱心に聞いてくれ、終わってからも一緒に写真を撮りたいという子どももいて、うれしかったです。南極の氷は触る機会がほとんどないので、映像とは違う感動があると思います。さまざまな角度から地球を知るのは大事なことです。野蒜海岸、みんなで行きたかったですね。
◇土井 邦裕さん
たくさんのご家族の方に来て頂くことができとても嬉しかったです。クイズなどの反応がとても良く、自分もいつも以上に楽しみながら進めることができました。また、自分たちの説明が聞いている方々にしっかり伝わっているか、伝わっていないのかが、直にわかり、その点でも勉強になりました。
また、視察は、震災を経験した方のお話なので、テレビなどを通しての話以上に、心に突き刺さるものがありました。また、私は現在福島県に住んでいるので、同じ被災地の福島と宮城の共通点や違う点などにも気づかされました。宮城だけでなく福島、岩手など被災地全般に関しての正しい知識や理解を、もっと深めていかなければいけないと、感じました。被災された方の経験を、今後の防災に役立てていくためにも、今後の気象解説での伝え方など、さらに工夫をしていきたいです。
◇杉村 友希さん(事務局)
数年ぶりに被災地イベントに参加させていただきました。元気のいい子供たちの参加だけでなく、大人の方も真剣に聞いてくださっていたことが印象的でした。パンのクイズは、実際に自分がやるのは実は初めてだったのですが、皆さんの反応が前から見ていてもとても楽しかったです。
語り部お二人の方のお話と視察は大変勉強になりました。近年いろいろな場所で災害が起きていて、正直東日本大震災のことは少し記憶の中では薄くなりがちでした。しかし、お話や映像は辛いものもありますが、忘れていけないことなどがまだまだあると痛感しました。
◇矢島 亜弓さん(事務局)
当時のまま止まった時計や津波によって倒された電柱などを見ていて心が痛むこともありましたが、その一方で現地の方々の明るさやたくましさに非常に驚きました。お子さんたちは実験など非常に楽しそうに参加されていて、こちらも自然と笑顔になりました!
◇中川 莉沙さん(学生会員)
東日本大震災が起こった当時、関西に住んでいて被害がありませんでした。そして私はまだ小学生だったため、東北の方で大変な事があったんだという認識はあったものの、何か出来たわけではなくただニュースを見ているだけでした。その後も、被災地に行くことは無く、大学生になりました。そのため、私は被災地に行くのは今回が初めてでした。東日本大震災が起こってから七年後なので、新しい家が建っていたり、本当にここに津波が襲ったとは想像できないくらい、のどかな雰囲気の所でした。しかし、ボランティアをした旧野蒜小学校には津波ラインというものが残されており、そのラインが一階の天井辺りにあり、津波の高さに驚かされました。語り部さんの話では実際に、家や、近所の方が被害にあった話を聞き、今まで想像出来なかった東日本大震災の被害を身近に感じ、恐ろしくなりました。旧野蒜駅は、元々家があったはずの空き地に囲まれ孤立していて、本当に線路が通っていたとは思えませんでした。街頭が斜めになっており、津波の強さを物語っていました。被災地を実際に見てみて、怖くて目を背けたくなりましたが、向き合うべきものだと感じました。日常を過ごす中で、いつこのような自然災害が起こるか分からず、想像もしたくないですが、出来る限り対策出来るよう心掛けたいです。
◇藤森 涼子代表
今年も当日は正会員として参加させていただきました。会場は大変広く、子供たちだけを前に座らせたことで更に可愛さがぎゅっと圧縮されたように思いました。リハーサルを予定よりはしっかりとできたので、本番は流れもスムーズにいったかと思います。子供もそうですが、親もしっかりと聞いて反応してくれたので、とてもやりがいを感じるイベントになりました。
その後は語り部さんのお話を聞きながら、被災地跡を見学しました。今年は初参加の会員も多く、皆さん色々とこのイベントで感じてくれたのかなと思います。今年もほぼ一人で準備をしてくださった、東北理事の鈴木智恵さん、そして、協力してくださった皆様、参加者の皆様ありがとうございました。
イベント終わりに空を見上げると、くっきりとした虹が!
「被災地の今」を見て感じたことをこれからどう伝えていくのか・・。ひとりひとりの宿題でもあり、それが未来への虹の架け橋になるのかもしれません。
イベントにお越しいただいたみなさん、そして、会場・キボッチャのスタッフのみなさん、全面的にバックアップしていただいた貴凛庁のみなさん、本当にありがとうございました。(仙台・鈴木智恵)