「理事のお天気だより」 バヌアツ編(その2)
前回につづいて、VMGDでの取り組みをお伝えします。
(→前回の投稿「バヌアツ編その1」はこちらからご覧いただけます)
その1で、バヌアツは地震も多い国ということをお伝えしましたが、インドネシアのスマトラ島からつながる断層は、インドネシアからソロモン諸島へ、そこから南に折れて、ニューカレドニアとバヌアツの間をとおり、さらにニュージーランドへとつながっています。
太平洋の国々では、この地域で起きる地震を監視するために、フランス領ニューカレドニアの主導で、ORSNET(Oceania Regional Seismic NETwork)という太洋州全体をカバーする、地震計の観測ネットワークが構築されており、そのメインサーバーがニューカレドニアに、サブサーバーがバヌアツに置かれています。
また、津波については、ハワイにある、PTWC(Pacific Tsunami Warning Center)がマグニチュード6.5以上の地震が発生すると津波に関する情報発表し、それらがWMOの気象情報ネットワークGTSをとおして配信されます。
今回のプロジェクトでは、(i)バヌアツで起きた地震について、ORSENETで観測・解析されたデータをもとに、(ii)それ以外の地域で発生した地震についてはPTWCの情報をもとにして、地震発生から10~15分以内に「津波警報」を発表することを目標に、発表基準の整備、監視・情報発表のためのシステム構築を進めています。
津波情報支援ツール(左:PTWC津波情報監視パトロールライト、右:地震監視端末)
毎年11月5日は「世界津波デー」ですが、今年の世界津波デーにあわせて、首都ポートビラがあるエファテ島の東海岸エトン村で、11月2~4日の間、津波防災イベントが開催されました。4日には、バヌアツの南海上で地震が発生し、津波がおしよせることを想定し、津波避難訓練を実施しました。津波避難訓練には同地区の約400名の住民等が参加し、海沿いの村から高台のサッカー場まで避難を行うとともに、事前の津波イベントでは、東日本大震災(2011年)の実際の津波映像やパネル写真を展示し、子ども達を含む来場者の皆さんの強い関心を集めていました。
最後になりますが、バヌアツの写真をいくつか紹介します。
地震も火山もサイクロンもありますが、とてもキレイな国です。日本に疲れたら、ぜひ一度、お越しください。日本人が経営している「メラネシアンホテル」、おいしいバヌアツビールが楽しめる「ストーングリル」、もちろん、きれいな海と川も皆さんをお待ちしています。
津波訓練の行われたエトン村 南十字星(マーカー〇印があるのが本物)
担当理事:登内道彦(監事)